終わった話

経過した事物

2022.10.03

職場の人がよく、飼っている猫の写真を見せてくれる。
彼女がスクロールするカメラロールには同じポーズで撮られた写真が全くなくて、猫が絶えず変化する動物なんだとわかった。
彼女は飼い猫のかわいさを伝えるために私を自宅に招いてくれたこともあり、自分もこれまで人並みに猫の写真などを見てきて、可愛いなと思ってはいたけれども、彼女の部屋で動き回っていた猫は思っていたよりも獣で、小さい虎じゃん、と思った。
彼女の猫の切り取られたとっておきのかわいい場面を見せてもらうたび、いいな、って思ってしまう。なついているかわいさがいつも傍にあるって、羨ましい。しかしそう思っているうちは猫なんて飼えないし、どんな生物ともうまく行かない気がする。(私はほんとうによく観葉植物を枯らしてしまう。)彼女が猫について語る時、そのエピソードの端々から伝わってくる愛情と気遣いを感じるたびに、自分が他の存在をそこまで尊重するようになることがあるのだろうか、と思う。

 

工藤玲音さんの歌集『水中で口笛』を読んだ。玲音さんは、幸福のことを自分が人に与えられるものだと捉えているところが、すごいなと思う。