終わった話

経過した事物

2021.03.27

寝て起きて、解熱。

しかし発熱の気配は未だ周囲を彷徨っている。

朝の日課の散歩は見送り、極力省エネモードで荷造りを遂行した。

カーペットと炬燵をしまうと広々としたフロアが現れて、これはなかなか気持ちがいい。

新居では旧居よりも余白を残して暮らすのもよいかもしれない。決まると安心するけれども、決めてしまわない方がいいこともある。

 

お昼過ぎには以前引っ越し業者で働いていた経歴を持つらしい職場の先輩が訪ねてくださり、1時間弱でほぼ全ての荷が造られて唖然とした。

スーパーウーマンですか?私の午後の仕事はどこに消えたんですか?

そうお伝えすると喜んでくださり、なんてよいお人柄なんだろう。

時間の余裕ができたので、まだ仕舞わずにおいたガスコンロとやかんでお湯を沸かしてティーバックを浸してささやかながらもお茶を出した。

椅子をテーブル代わりにして茶菓子をつまみながら、すこしゆっくりお話ができて嬉しい。

先輩のことが大好きだった。離れるのはやっぱり寂しい。

 

先輩が帰ってからは、降って湧いた思いがけない余暇に呆然としてただぼーっと天井を見つめるばかりだった。

ここのところは本当にせわしくて、無為な時間の過ごし方をすっかり忘れてしまった。これこそがずっと欲しかったもののはずなのに。

音楽を聴いて、広々した寒々しい部屋でしばし踊った。