終わった話

経過した事物

2021.03.10

朝。小雨。

明度の低い光がレースの白い繊維を通り抜けて、室内が均一に薄暗い。

折坂悠太さんの新しいEPを聴く。視覚がやや遮られた室内で、音もまた綺麗な粒子(あるいは波)のひとつなんだと気が付いた。


外を歩き回るようになって、自分の身体感覚に自覚的になったような気がする。

自分にとって気持ちのいい光や音の波の加減がわかるようになってきたし、ごはんをよく噛んで食べるようになった。

生まれてから二十余年、ようやっと魂が肉体に定着したような気持ちでいる。

(随分長くかかったものだ。)

 

夕方には突風が吹き荒れていて、散歩を強行したはいいものの立っているだけでもみくちゃにされてしまってかえって疲れた。

味噌汁を作る余力もなくレトルトカレーを食べて、過多な塩分が血中に浸透していくような気がして寝る前にお茶を飲んで体内を希釈した。

私が寝ている間に幾分か拡散されるといい。