終わった話

経過した事物

2021.02.27

内臓に響くアラームの音で起床。
隣の布団や自分の喉から聞こえて来る呻き声と共に立ち上がり、ゾンビの群れのような足取りで朝風呂に向かった。
旅館の朝の露天風呂が好きだ。夜には暗くて見えなかった川面や山肌の様子をじっくり見ていると、この一晩で自分達のために世界がつくりかえられたような気分になるから。あと、毛穴からアルコールが溶け出して酒気が抜けるような気がするから(科学的誤り)。

 

帰りの道中、パン屋さんに寄ってめいめい好きなものを買って朝ごはんにしたあと、もれなく全員がお腹を痛くしていておもしろかった。
誰一人としてまだ昨夜のダメージを消化しきれていない。もうほんとに何かから卒業なんだね私たち。
街場に戻ってきて、ちょっとのあいだみんなで散歩をしてから解散した。
それぞれの世界に戻っても頑張ろうね。なんて、その場では口には出さないけれども。現場にいる瞬間はもっとはしゃいでちょけている。あとから思い返して意味付けするのが思い出。

 

電車に乗って自分の町に帰るために懐かしい町をしばらくひとりで歩いて、懐かしい顔にすれ違ったり(声はかけなかった)、懐かしい店が営業を再開しているところに立ち会ったり、つまりはシティとのシンクロニシティ
かつて当て所なくただぐるぐる歩き回っていた駅前のロータリーの松屋で昼飯を食べていたら有線放送でSEKAI NO OWARIの『Dragon night』がかかって、いまここが2016年の盛岡のような気がしてきて目がチカチカした。
ベストアルバムの発売を知らせるアナウンスが入ったあとにあいみょんの曲が流れて、その時たしかに、もういまは2021年でその間に私は失恋したんだ、ということがわかった。

 

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