終わった話

経過した事物

2021.02.21


コーヒーを淹れて本を読んでいる時間だけが平穏で、それ以外のすべての時間において疲弊しているような気がする。

 

お昼に友人宅に集合して夕方までお菓子を食べたりゲームをしたり散歩をしたりまるで小学生のように遊び、解散してドッと疲れた。
中嶋らもさんの小説が読みたくなってブックオフに立ち寄ったが、あいにく在庫が長編の1巻目しかなかったので、惰性で100円均一コーナーを漁って文庫本を5冊買う。
夜のブックオフの煌々とした光の下で蠢いてるような人物はおおむね素性がしれないが、たとえどんな人だとしても狭い棚の間ですれ違った瞬間に親近感を持ってしまう。
無差別な人々に囲まれて無造作に並べられた多くのタイトルと多くの名前を見つめ続けていると、ここが世界の全てのような、世界なんてそもそもどこにもなかったかのような、不思議な気持ちになる。
こんなに沢山の人がいるのに、なんで私は。私たちは。

 

思考がどうにも立ち行かなくなって、Siriに私のためのプレイリストを用意してもらい、ハンドルをゆるく握ってアクセルを踏みっぱなしにして家の周りを2周した。
街で評判のケーキ屋の電気が消えているのを横目に見ながら信号を通り過ぎた時、この世に無意味な存在など何一つないんだな、と思った。