終わった話

経過した事物

2021.02.20

朝9時に友人と待ち合わせをして、ドライブして温泉に行ってランチを食べてカラオケに行って3時間歌って解散した。

 

職場の人に勧められて訪れたその温泉はお湯がぬるめでやわらかく、水面からはみ出た半身まですっぽりと湯気に包まれながらまるで羊水に浸かっているような感覚になった。
この感覚をいま横にいる友人に伝えたい、と思って口を開いたが、ようすい、という響きにつられて井上陽水のことを頭によぎらせながら発話したせいか、うまく伝わらなかった。

公衆浴場に来ると、生について安心が得られる。人の身体がそれぞれ違うことや、魂が別々に存在していることについて、目で見て確認して納得できる。
露天風呂で行き合った妙齢女性のグループと会話を交わし、誰かとつながりたい気持ちを昇華できた。田舎のクラブは浴場と公民館だ。健全で健康でそれなりだ。

 

エビアンという水のことはおしゃれだけどなんだか唾液のような味がすると思っていて、でもひさしぶりに飲んだら全然そんなことはなくって、風呂上がりの喉にまるっきりスムースだった。
名物のいちごのピザといちごのパフェという冗談みたいな昼食をとり、もたれた腹をこなしたくて防音の効いた部屋でなるべくいろいろな音を聴いてなるべくいろいろな声を出した。

気絶していたかのような時間のあとに、気付けばハンドルを握った自分がいて、なんとか運転して家に帰れて偉かった。