終わった話

経過した事物

2021.02.04

不機嫌な起床。頭がぼーっとする。

出勤前に友人とLINEでやりとりして、あなたのいまのその状態は人間不信というんだよ、と教えてもらった。

そうだったのか。信心深かったものでわからなかった。

 

保健所から引き取った大きな犬と暮らしていた親戚のおじさんのことを思い出した。

その犬は賢くてまっとうな精神を持っていて、正しく恐れ、正しく怖がり、正しく愛を受け取っていた。

犬を引き取った後のおじさんの手にはいくつか穴が空いていたが、どれだけたってもその穴の数が増えることはなかった。

それからしばらくしておじさんがいなくなって、すぐに犬もいなくなった。

これはなんの比喩でもなく、ひとつの事実。


職場についても頭が動いていなくて、自分だけがうすい膜で隔てられているような感じ。

今月もだんだん調子が悪くなってきたかなと思っていたら、唐突に月経がはじまって拍子抜けした。まだ、泣いても喚いてもいないのに、月経がきた。こんなのいつぶりだろう。

調子はよくないが、よくなってきてはいるということだ。

自分の中で飴玉みたいに転がっている希死念慮がだんだん小さくなっていっている。溶け出していっている。なくなりそうになっている。

でも、ここで齧ると舌を切りそうだから、まだ齧らない。

これはなんの比喩でもなく、ただ飴玉と言ってみたかっただけ。


肉体を遠隔操作しているような感覚で動いているうちに仕事が終わり、帰宅してルーティンをやった。

エモめの漫画を読んで感傷に浸り、般若心経の経文を見てちょっと泣いた。

いつかのかなたに、これが真理だ、と思って書き記した人がいたことを思うとたまらない気持ちになる。

くう、くう、と連ねられている。そうだよね。なんにもないんだよね。

いつも仏壇の前で般若心経を唱えていた祖母は、あちらで真理に到達できたのだろうか。


やはり夜はまだ調子がわるいらしい。

ベッドに横になって見上げる天井にここではないいつかの天井を見る。屋根越しに雪が降る気配を感じる。雪かきに備えて早めに寝たい。