終わった話

経過した事物

2020.12.26

帰省のために移動する日。

にもかかわらず、なかなかベッドから起き上がれない。

YouTubeを見て、友人達に誘われて、ようやくベッドから離れられた。

帰省が苦手だ。拠点を放っておくのが不安だ。

自分が見ていない間になくなってしまうことを想像して、落ち着かない。

スーツケースに服をつめて、タクシーを呼んで、なるべく何も考えずに電車に乗った。

 


電車で移動する間は、田畑や路地の電線や遠くの山や古びた看板を見ているだけで全然飽きない。

音楽を聴きながらずっと窓の外を見ていた。

街に着き、しゃぶしゃぶ食べ放題屋さんで無秩序にたらふく食べてだいぶ元気を取り戻した。

そのあとお酒を買い込んで友人宅になだれ込み、ドラマを見ながらしこたま飲んだ。

人とお酒を飲むとき、意識が周りに溶け出して曖昧になると同時に、その意識をいつもより客観視してしまうような、不思議な気分になる。

 

2枚の敷布団に対し、3人で川の字で寝た。私は真ん中の川になった。

夜中にトイレに起きたとき、人と寝る布団の暖かさに驚いた。手足がまったく冷えていない。今冬はじめての体験。

むしろ暑いくらいで、着ていた服を一枚脱いでまた寝た。こんなにいいもんだったっけ、と思った。