終わった話

経過した事物

2020.12.18

久方ぶりの晴れ間で、車にもたいして雪が積もっていなかった。

しかし昨日職場であらかじめ規定(あるいは期待)されている流れに沿うような形で「明日から早出して雪かきしますね」といった具合のことを伝達してしまったため、いつもより1時間ほど早く家を出た。

ほんのちょっぴりの雪をかき、褒美(あるいは形式)として1時間半早上がりすることが許される。

こういうとき、なにかが見合っていない気がして申し訳なくて、やたらに恐縮してしまう。

恐縮するだけして、結局は残業するでもなく言われた通り帰るんだから、性根はまっすぐではないよなと思う。

 

夜、友人と待ち合わせてカラオケにいった。

マクドナルドを持ち込んでドリンクバーのプラコップで乾杯すれば、すぐに宅飲みの気分になる。

カラオケのことをずっと音符を正しくなぞることで社会を正しくなぞれることを証明する遊びだと思っていたけれど、別の友人に「別に誰かのためにやるもんじゃないよ」と教えてもらって、苦手意識がすこし薄まった。

マイクを口にあててどんな音を出しても自由で、それって文章を書くことや料理をすることに似ている。

自分の喉あるいは脳や手先からどんなものが出るか、どのように出るか、あるいは出るその瞬間、その喜びが先で、結果は後。

カラオケルームは運転中の車の中と違って、揺れたり立ちあがったりしながら大声を出せるのが楽しい。

ずっとここで条件反射的に意識を発散させていたい。

 

家に帰って、先程もらった柿を剥いて食べて、すこぶる美味しくて嬉しかった。

遊びの手土産に柿を持ってきてくれるような友人が存在するおかげで、私の人生も間違ってなかったなと思える。

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