終わった話

経過した事物

2020.11.14

2時間遅く寝たので2時間遅く起きた。

今日はお休みの日なのでいつもより多くのことを自分で決める。

朝食は昼までお腹が空かないための熱量を考慮せず好きなものを食べていいし、排泄は業務の休憩時間を考慮しなくていい。

電車の時間には間に合うように支度して家を出た。


学生時代を過ごした街へ行き、母校の学生団体の活動報告会に参加した。

一応、発表後の催しとしてのトークセッションの登壇者として呼ばれていたのだが、久しぶりに人の発表や主張を生で沢山聞いたためか、壇上に上がる頃にはすっかりヘロヘロになってしまっていた。

人と相対し、マイクを持ち、いまの自分には大勢の人に向かって話したいことが特にないんだということに気がついた。

壇に登った責務としなにかしらを発言しようとするが、人の話も自分の話も全然頭に入らず、すり抜けていく。

近ごろ文章を書く時間が増え、考えている時間も増えているはずなのに、発話できない自分のことを不思議に思った。

終了後、先輩や同期のOBOGがおつかれと声をかけてくれてやさしい。


ちょっと疲れちゃったみたいです、というのは半分本当で半分嘘で、本当の本当は、開会の催しとして披露された伝統芸能の太鼓の音を聴いた瞬間、もうその一瞬でダメになってしまっていた。

空気中に生まれる振動、太鼓を打つ人の肉体、その精神、木の胴に皮を張った仕組み、張られた皮の元の持ち主、何十年も前から変わらず繋がれた音と仕組み、いまここにいないが演舞を通して存在していたことがわかる人たち。

そういったことが頭を駆け巡って、人の儚さを思ってなのか、涙がでてしまう。

とてもいい演奏だったのに、すごくさみしい気持ちになった。

同じ音を奏でて聴いて同じ高揚を感じながら、わたしたちの意思は全くバラバラのところにある。

隣に座っている人や壇上で話す人と絶対に交わることはなく、それでも絶対につながっていることを思って、どうしたらいいかわからなくなった。

私はなにを伝えてなにを伝えなければいいんだっけ。

 

宿泊先の友人宅でピザを食べてビールを飲んだ後、散歩に出て撮った写真が全部ブレていた。

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ブレている黄色の下にはほんとうはイチョウの葉っぱが絨毯のように広がっていて、道路はそこらじゅう銀杏くさかった。

はじめは踏むのを避けていたが、すべて回避することは不可能だと諦めてからはなるべく銀杏をつぶすように歩いた。