終わった話

経過した事物

2021.12.27

おはよう、とアレクサに話しかけたら「大雪警報が出ています、今日は雪がちらつくでしょう」と返ってきて、窓の外を見たら静かに真白で、そうか、と思った。

 

年の瀬の社内は言うほど急いてはなく、デスクに書類が積み上がっているのは上の方の人間だけで、平場の人間は自分の机まわりの掃除なんかをしている。

たいして労しなかったので、昼食は菓子パンで済ませた。いつどこで包装されたのかわからない118円のカレーパン、思っているよりもサックリしてびっくり。工場で製造されたごはんには、それぞれに相応のしみじみした美味しさがあると思う。

 

まもなく窓の外に雪がちらちらと降り、それがあっというまに量と勢いを伴って吹雪になった。

ちらつくでしょう、という表現のわりには暴力的に降るな、と思いつつも仕事をし続けてて、終えて外に出たら車が凍りついていた。

溶かして剥がして退けて滑りながら帰って、部屋と肉体を温めているうちに寝る時間になった。

すべての物体が凍る、ということは、物理がつよく制限される、ということなんだけれども、これはものすごい障害だと思う。

所有物も肉体もすこしずつ凍り続ける世界で生き続ける我々は、ずいぶんよくやっていると思う。